この記事でわかること
- ①公開情報・②攻撃面・③脆弱性診断の3層と、攻撃者が踏みうる順に段階を広げる考え方
- ライト・スタンダード・攻撃面パッケージ・オプション・脆弱性診断が各層のどこに位置するか
- 侵入実証(ペンテスト)が3層の外であることと、初回・再依頼・能動回避時の選び方の目安
なぜ「層」に分けるのか
外部からのリスクは、DNS の設定 1 行・忘れられたサブドメイン・古いソフトの既知の欠陥のように、 性質が違う事実が混ざります。 全部を同じ深さで一度に調べると、範囲が定まらず、負荷・コスト・説明の負担が一気に上がります。
HAIPS では、攻撃者が実際に踏みうる順に上から段階的に広げる考え方を採っています。 層ごとに別メニューとしても、まとめて 1 案件としても依頼できます。
外部攻撃面とは何かで全体像を押さえたうえで、 本記事はメニュー選択の地図として読んでください。
3 層の一覧
| 層 | ざっくりした質問 | 当社の呼び方(例) | 典型パッケージ |
|---|---|---|---|
| ① 公開情報 | 名簿や看板から分かることは何か | 公開情報調査 | ライト(P1)・スタンダード(P2)・攻撃面の前半 |
| ② 攻撃面 | 知らない入口・古い入口はないか | 攻撃面レビュー | 攻撃面パッケージ(P3) |
| ③ 既知の弱点 | 世界共通の欠陥リストに載る穴はないか | 脆弱性診断 | P3+GVM セット・GVM オプション・GVM 単独 |
本格的な侵入試験(ログイン突破・権限奪取の実証)は、この 3 層の外です。 別契約・別見積となります(ペンテストとの境界)。
表に出てくる略称
- P1 — ライト調査(①の公開情報のみ)
- P2 — スタンダード調査(①を広げたもの。能動スキャンなし)
- P3 — 攻撃面パッケージ(①+②。初回でよく選ばれるメニュー)
- GVM — ③の脆弱性診断を指すパッケージ名(当社が使うスキャナ名に由来)
- CVE — 世界共通で管理されている、既知の脆弱性の識別番号
P1 と P3 の詳しい比較はライトと攻撃面パッケージにあります。
段階の流れ
- ① 公開情報 — DNS・証明書ログ・メール認証など(負荷の小さい照会が中心)
- ② 攻撃面 — サブドメイン列挙 → Web が動くか → 代表ポート(扉の有無)
- ②のオプション(+O1、任意) — 動いている Web への代表パターンチェック(契約で明示した場合のみ)
- ③ 脆弱性診断 — ②で分かった「生きているサーバ」への CVE スキャン(網羅寄り)
②は、建物の外周を歩いて開いている扉と看板を数える調査です。 ③は、扉の型番が既知の欠陥リストに載っていないかを機械的に照合する段階です。 金庫を開ける(侵入実証)段階ではありません。
① 公開情報 — 何をするか
第三者がログインなしで読める情報を、事実として整理します。
- ドメイン・DNS(代表ドメインがどのサーバ・メールに向いているか)
- 証明書の発行記録(証明書透明性ログ)から分かるホスト名の手がかり
- メール認証(SPF / DKIM / DMARC 等)— SPF・DMARC
- Web のセキュリティヘッダ・well-known(ヘッダ)
- 代表ポートの軽量確認(契約により①のみの案件でも実施可)
含まない例: 社内パスワードの推測、メールボックスの存在確認、漏洩 DB 検索。
メニューではライト(P1)が①に最も近く、 スタンダード(P2)は①を広げた公開情報の再収集(能動スキャンは含まない)です。 攻撃面パッケージ(P3)も、作業の前半は①相当を含みます。
② 攻撃面 — 何が増えるか
①のあと、契約で許した限定能動スキャンで「入口の地図」を厚くします。
- サブドメイン列挙(公開ソース横断のホスト名リスト)— サブドの棚卸し
- Web 生存確認(名前はあるが実際に応答するか)
- 代表ポート・サービス種別の確認(全ポートではない)
含まない例: 全 TCP ポートスキャン、認証突破、DoS・負荷試験。 P1 と P3 の違いの詳細はライトと攻撃面パッケージを参照してください。
②のオプション(+O1)— 標準 P3 とは別枠
②で「Web が応答する」と分かった URL にだけ、既知の設定ミス・管理画面露出・Web 向け CVE テンプレの代表チェックを足すオプションです(+O1)。 標準の攻撃面パッケージには含まれないことが多いです。
+O2(TLS 深掘り)・+O3(WordPress 特化)も同様に P3 への上乗せです。 一覧は攻撃面オプションを参照してください。
③ 脆弱性診断 — 攻撃面の次の段
②(または御社からご提示いただく IP アドレス・ホスト名の一覧)で対象が決まったあと、 既知の弱点(CVE 等)をスキャナで照合し、報告書に事実として整理します。
詳細は脆弱性診断とは。 脆弱性診断だけ先に依頼する場合は、個別契約の範囲(SOW)に対象リストを明記する必要があります(「全部調べて」は範囲が定まらないため)。
+O1 と脆弱性診断の違い
| 比較 | 限定 Web(+O1) | 脆弱性診断 |
|---|---|---|
| 主な対象 | Web サイト(URL) | サーバ・サービス(IP アドレス・ホスト名) |
| 主な出力 | 設定ミス・Web 向け既知パターン | CVE 番号を含むスキャン結果(網羅寄り) |
| 典型の位置づけ | 攻撃面の追加オプション | 攻撃面の次の段、またはリスト固定の定期 |
両方必須ではありません。多くの初回は攻撃面パッケージ、またはP3+GVM セットで足ります。 +O1 は「脆弱性診断より軽く Web の代表穴を先に知りたい」場合のオプションです。
迷ったときの選び方
| 状況 | おすすめ | 理由(一言) |
|---|---|---|
| 初めて外からの見え方を把握したい | 攻撃面パッケージ(P3) | ①+②を一括。社内説明はこれで足りることが多い |
| 初回から既知 CVE まで知りたい | P3 + GVM セット | ②で見つけたサーバに ③ を続けられる |
| すでに攻撃面レポートがある | GVM オプション(脆弱性診断の追加) | 入口の再発見はせず CVE だけ追加 |
| 対象の IP アドレス・ホスト名の一覧を既に持っている | GVM 単独(脆弱性診断のみ) | リスト固定の定期スキャン向け |
| 能動スキャンは避けたいが棚卸しはしたい | スタンダード(P2)またはライト(P1) | ①のみ(扉を叩く調査はしない) |
| 不審メール 1 通の整理 | 不審メール 1 通(S3) | 別目的(攻撃面とは別案件) |
税抜目安(代表ドメイン 1 件): P1 5〜10 万 / P3 15〜35 万 / P3+GVM 例 35〜55 万。 正式な金額はお見積りで確定します。
3 層の外にあるもの
- 侵入実証(ペンテスト) — 突破まで試す別契約(境界の説明)
- 事務所・ルーター点検(P-EDGE) — 拠点 LAN・ルーター向けの別レーン(点検の説明)
- 再調査・年間フォロー — 初回後の差分確認(再調査・年間フォロー枠)
関連記事
- ライト調査と攻撃面パッケージ — 何が増えるか(P1 と P3 の比較表)
- 調査依頼の進め方
- 報告書の読み方
- サンプル報告書(架空)
調査データは閉域環境内で扱います
いずれの層・メニューも、調査結果は閉域環境内のみで保管・処理します( 閉域で完結する理由)。